鶏むね肉を低温調理でやらかくしっとり仕上げる方法 ~諦めた私と俎上の鯉~

 

 

零、 

西洋では 聖誕祭と 呼ばれる 師走の候

外に目をやれば 季節はずれの 野球場とも 心得違えるかの如く

電飾が ピカピカと 煌めいている

とりわけ 身を寄せるところもない私が ひとりさみしく

睡ろうとしていると 這入り口が開き 男が 近づいてくる

一、 

男は 薄暗く 凍える寒さの中から 手を取り 部屋へ導く

そして瞬く間に 薄衣をはがし その身を 寝台へ乗せる

その姿は 俎上の鯉とでも 表そうか

「私はもう この男のなすがままにされるのみだ」

そう 諦めたかのように

ひとふしも 抗うことなく ただ 横たわっている

 

二、 

その身から 白く美しい衣をはがし 寝台の外へ 投げ捨てる

「先に水を浴びて来なさい」 そう言うと

透き通った水桶へと導き まるで 赤子を 沐浴させるように

そっと撫でながら その身の穢れを 落とし

再び 寝台へといざなうのでした

 

三、 

その身から ポタリ またポタリと 落ちる水滴を

手ぬぐいで そっと  ふき取り

これから始まる 長い長い夜への 準備を 進めていくのでした

 

四、 

「おしろい…だろうか?」 次に男は 甘美な 純白の微粉を取り出し

その身全体へと じっくり さするようにして その粉を 惜しげもなく

摺りこんでいく

 

五、 

四半刻がたっただろうか 男はなにやら 桶を用意しだした

するとその桶を まるで海の味とも汗の味ともとれる しょっからい液体で

満たしていくのでした

 

六、

「次は こちらへお入りなさい」 導かれるままに

私は その桶へ 身を委ねると

男は再び 凍える寒さの中へ 私をやるのだった

 

七、 

寒さのあまり 眠ってしまったのだろうか

二刻ばかりは すぎた感覚で 目を覚ます

そして 男は 私の 冷え切った身を 今度は

湯浴へと 連れ 徐々に 火照らせていく

 

八、 

なんと あたたかく 恍惚で 繭の中に包まれているかのようであった

一刻ほどの時間をかけ 身のみならず 心の芯まで じっくりと ぬくまった

 

九、 

逢ったころは 寒さのあまり 淡い桜色をしていた

さみしさのあまり 世間に怯え 畏れていた

そんな身の姿は そこにあらず

うら若く 仄白く 美しく 変貌した その身は しっとりと潤いを蓄え

淡泊な中にも 仄かな塩味と 明瞭な旨味を 護持している    

 

十、 

「もう 旧時の私では ありません」

そう言い残すと 男の中へと 掻き消えていくのであった

 

長々と 書きましたが

何書いてんだ訳わかんね って方はこちら

鶏むね肉の 低温調理 (鶏ハム)の 作り方です

 

0. 関係ないので 飛ばします

1. ラップをはがして鶏むね肉を取り出す

2. 皮をとって捨て 水で表面を洗う

3. キッチンペーパーで水滴を拭く

4. 砂糖小さじ2を全体にすりこみ15分置く

5. 水100ccに塩小さじ1を溶かした水につける

6. 冷蔵庫に入れる

7. 4時間以上寝かせたあと63度のお湯にいれる

8. 100分加熱※

9. 中心まで 火が通っていることを確認する

10.食べる

 

※時間は目安です鶏むね肉の大きさによります しっかりと火を通してください

 

あらかじめ 砂糖と塩と水をまぜた ブライン液 というのが 

有名だと思いますが 料理のさしすせそ 的に 砂糖を先に すりこみます

    

 63度のお湯 は わたしは これで用意しています

 

電気圧力鍋ですが 保温機能を活用し 低温調理もできます

温泉卵なんかも 作れます